カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

アドレス日本一周 west[139]

投稿日:2013年4月19日

ガックリきたら食べるに限る

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 10月28日。3日間に渡る「地平線会議イン浜比嘉島」が終ったら、那覇港から石垣港に渡るつもりでいた。石垣島を一周したあとは、石垣港から日本最西端の与那国島と、日本最南端の有人島の波照間島に渡る予定にしていた。
 ところが大ショック。
 石垣島に渡る有村ラインのフェリーがなくなってしまったのだ。
 そこで全日空とオーシャントラストの2社に、
「125ccのスクーターを飛行機に乗せてもらえませんか」
 と聞いてみた。すると2社ともに石垣便は小さな機材(飛行機)なので無理だという。
 何としても八重山諸島には行きたかったので、アドレスを那覇に置いて、自分一人で石垣島に飛び、レンタルバイクで八重山諸島をまわろうかとも考えた。しかし、どうしてもアドレスを置いていくことができず、八重山諸島を断念した。
 今回の「日本一周」は、アドレスあっての「日本一周」なのだ。
 ということで今日のフェリーで鹿児島に戻ることにした。
 フェリーの出港は那覇発7時だが、本部港発だと9時20分になる。そこで本部港で乗ることにした。6時に出発すれば、「十分に間に合うな」と思った。
 ところが目覚めたのは7時30分。ほんとうによくしてくれた民宿「ゆがふの郷」のおかみさんにお礼をいってすぐさま浜比嘉島を出発。浜比嘉大橋を渡り、平安座島から海中道路を走って与勝半島に入り、国道329号に出た。
 国道329号で一気に名護へ。
 名護到着はまだ9時前だ。
 名護からは国道449号で本部港へ。
「間に合った!」
 本部港到着は9時12分。ここで出港間際の鹿児島行きのフェリーに乗れるはずだった。ところがフェリーはすでに岸壁を離れているではないか…。
「何ということ!」 
 今までフェリーが遅れることはあっても、定刻よりも早く出たなんて聞いたこともない。「島めぐり日本一周」のときも、100便以上のフェリーに乗ったが、そういうことは一度もなかった。信じられないような思いで、本部港の岸壁に茫然と立ち尽くしてしまった。
 フェリー乗場の窓口で聞いてみると、その理由がわかった。
 鹿児島行きのフェリーはマルエーフェリーとマリックスラインの2社による運航で、そのおかげで毎日1便、出ている。ぼくが持っていたのはマルエーフェリーの時刻表で、それには本部港発9時20分となっている。ところがこの日はマリックスラインの「クイーンコーラル8」で、本部港発は9時20分ではなく、9時10分なのだ。2分の差で乗りそこねてしまったのだ。
 旅でガックリきたときは、食べるに限る。
 食べると、気持ちが変わる。
 フェリー乗場前の「港食堂」に入り、「焼きめし」(500円)を食べた。ボリューム満点の「焼きめし」。食べ終わる頃には、
「さー、今日は一日、沖縄をまわろう!」
 と、すっかり気持ちが変わっていた。

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茫然と立ち尽くした本部港の岸壁
「港食堂」のボリューム満点の「焼きめし」


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